ウィンディというイグニス

面倒くさくて書いてなかったけどここらで書いておこうと思うんですが
ウィンディは鴻上博士の事大好きだと思います。
なんだろう、ウィンディってマジックシリンダーをリボルバーに見立てて「役立たずで期待できない」って言ったりアイを「お前如き」って言ったりやたらに相手をこき下ろすし「僕の風を操る力は最強」とか力を誇示したがってて、
基本的に人間はゴミ、AIも自分とライトニング以外はザコって感じを出してる滅茶苦茶イヤな奴じゃないですか。
でもその一方で彼は自分に本来与えられていた人類の後継種*1であるという役目に対しては(形はどうあれ)相当忠実なんですよね。
喧嘩を売られた以上買わざるを得ないというのはそりゃもっともだし、そもそも鴻上が僕達を消そうとしたのが悪いってのはもう完全に正しいんだけど、
ウィンディは僕たちのような高等な後継種を生み出したことこそ鴻上が最も誇るべき功績だとまで言っている。
これはつまり自分たちを生み出したことは正解であり、肯定されるべきだと言っているわけです。
でまあ気になって70話での彼の煽り・暴言を振り返ってみたんですけど

「別に恥じることはない。所詮人間は僕たちには かなわない。」
「まあ簡単に言うと……いらない?^^」
「鬱陶しいんだよね、パートナーがずっとそばにいるとか。」
「お前みたいに人間に入れ込むんだよな。そういうのが嫌なんだよ。 お前を見てるとつくづくそう思うぜ、アイ。」
「そもそも鴻上が僕たちを消そうとしたことが始まりだろ。」
違うな!僕達のような高等な後継種を生み出したことこそ!鴻上が最も誇るべき功績だ!!
「受け継ぐぅ〜?そんなの無理な話だ!鴻上だってお前に期待はしてなかったんじゃないのか?
 そもそも、何故お前は被験者に選ばれなかったんだ?
 お前じゃダメだと思われてたんだろ!期待されてなかったんだよ!
 そのお前が僕たちを殲滅など笑わせるな!
*2
「内心じゃ自分が鴻上の眼中になかった腹いせに、僕たちを潰そうとしているんじゃないのか?
「うっぜぇ。」(リボルバーに博士との絆をアピールされて)
「僕は風のイグニス!僕以上に風をうまく操れる奴はいない!」
「データストームを操るのは僕が一番うまいんだよ。あいつもお前たちも、所詮猿真似だ。」
「さあ墓地からカードを呼び戻せよ。役立たずで、期待できないカードをさ!」
「消えな!役立たずのマジックシリンダー!」
「いい加減僕に勝てないことを認めたらどうだ?」

なんだろう、つまり彼のリボルバーへの煽りは基本的に「僕は鴻上博士に選ばれてるけどお前は選ばれていない、僕は優れた・成功した作品でお前は劣っている失敗作だ」に要約できるわけです。

つまり彼は常に*3自分がどんなに優れた存在であるか主張し続けている。
イグニスって根本的に全員捨て子じゃないですか。鴻上のクソが生み出すだけ生み出しておいて全員捨てたから。
でも彼は自分が選ばれた存在であることを主張し、鴻上博士が自分達を生み出したことを肯定し、鴻上博士に与えられた能力を誇り、鴻上博士に最初に与えられた後継種としての役割に殉じようとしている。
で更に自己肯定よりも他者否定としての言葉ですが
「鴻上だってお前に期待はしてなかったんじゃないのか?そもそも、何故お前は被験者に選ばれなかったんだ?お前じゃダメだと思われてたんだろ!期待されてなかったんだよ!」「内心じゃ自分が鴻上の眼中になかった腹いせに、僕たちを潰そうとしているんじゃないのか?」なんていったりもする
これは凄い言葉です。
言うまでもない事ですがリボルバーは期待されていなかったから被験者に選ばれなかったわけではなく、博士が息子を巻き込みたくなかったために関わりを持たせなかったというのが実際の所で、リボルバーも既にそれを知っている。
だから70話時点でのリボルバーにとってウィンディのこの煽りは全く考慮に値しない意味不明な主張で実際に彼は「意志を持つAIとはそんな貧しい発想しかできないのか」と切って捨てています。
これはつまり、ウィンディの煽りはどこからも出てきてないんです。リボルバーがそういう不安を抱えていてウィンディが目ざとくそれを察したという事実はない。かといってAIは*4己の外にある何かを偶然手にすることもできない。じゃあこの言葉はどこからきたのか。
私はこれは、ウィンディが元々抱えていたコンプレックスをリボルバーに投影しただけなんじゃないかと思います。
彼は父である鴻上博士に生みだされ、そして捨てられたために失敗作というレッテルを張られた自分の存在を肯定できなくなって、
そこで他人を踏みにじったり単純に自分の優位性を示すことで自分を肯定する(自分は失敗作ではないと自分に言い聞かせて自分を保つ)という思考を身に着けたわけです。
だから彼は異常なほどに自分の優位性を主張するし、人類の後継種になって自分を生み出したことが正解だったと証明しようとしもする。
なのにそこに「自分を見捨てた博士」に選ばれたリボルバーが表れて自分を殺そうとするというのは、彼が自分を守るために築き上げた「自分は失敗作ではない」という神話を破壊されることと同義なわけで到底我慢できることではない。
しかもリボルバーが博士の意思に基づいて殺しに来ているという事実だけで既にたまらないわけというのに、その上リボルバーが博士に選ばれた存在であるという事がまた絶対に許せない。
選ばれたのは自分でなくてはならない。そのためにはリボルバーは役立たずで期待されていなかった出来損ないでなくてはならない。
そういう思考がああいう発言として出たんじゃないかなと思ったり。

リボルバーの「パートナーを手にかけるようなAI。父はどれだけ生み出したことを後悔していたことか。」という発言に対してウィンディは「違うな!僕達のような高等な後継種を生み出したことこそ!鴻上が最も誇るべき功績だ!!」と反論してましたがあれはもう完全に彼の叫びなんだと思います。


  • つまり?

鴻上博士ってクソだわ。死ね。死んでた。ふざけんな生き返って死ね。


  • ウィンディの今後

これはただの願望なんですが私はウィンディには再生怪人になって変身を繰り返して何度もリボルバーに挑戦するもとうとう勝利できず最期の最期スライム以下のボロクズみたいな姿になった末に本当は鴻上博士に見捨てられたのが悲しかったんだって白状して欲しいです。
でそれを鴻上博士の後継者・代理人であり、同じ父を持つ兄弟でもあるリボルバーに看取られながら死んでほしいなと思っています。
いや別に私としてはウィンディの生死はどっちでもいいんですけどどんなに頑張ってもリボルバーを超えられなかったウィンディが(ああコイツの僕を認めてくれずゴミのように処分しようとする所は僕の親父にそっくりだなあコイツも博士の子供だもんな)とか思いながらリボルバーに縋って死ぬのは凄い絵になると思うんですよ

*1:後継者?

*2:実際は「受け継ぐぅ〜?そwんwなwの無理な話だ!鴻上だってお前に期待はしてな↑かったんじゃないのか?そwもwそwもw何故お前は被験者に選ばれなかったんだ?お前じゃダメだと思われてたんだろw期w待wさwれwてwなぁ↑かったんだよwwそのお前が僕たちを殲滅など笑わせるなっ!」みたいな感じ

*3:本当に常に

*4:ボーマンが言っていたように