大賢者エンディミオンいいよね

私は元々神聖魔導王エンディミオンの大ファンなのですが今回マギストスというテーマに三賢者の一人として王の若かりし頃の姿が描かれていたので気になる点をいくつか妄察してみようと思います。

そもそも三人はどういう集まり?

今回の新規として描かれている「三人の大賢者」は
聖魔の大賢者マギストス・マスターエンディミオン
法典の大賢者マギストス・グリモワクロウリー
結晶の大賢者マギストス・ヴェールサンドリヨン
でそれぞれ「神聖魔導王エンディミオン」「ウィッチクラフトマスター・ヴェール」「召喚師アレイスター」の過去の姿らしいです。
この三人はそれぞれ時系列のもっとも新しい部分において
エンディミオンが魔力カウンターで知られる「魔法都市エンディミオン」の王である事
ヴェールが魔法都市エンディミオンに隣接する魔法交易都市で栄える魔法工芸職人ギルドの主である事
アレイスターが魔法都市エンディミオンと対立する「魔導書院ラメイソン」の最深部で電池扱いされている事がそれぞれ示されており
三者が同一の世界観を生きている*1事自体は確定していた一方でその関係は不明でした。
しかし今回三者はあわせて「三賢者」と呼ばれた同世代の人物であり

三人(ないし協力者含む四~五人)で本を記したり大魔法を扱う程近しい間柄であり、青春を共有していたことが判明し、魔法都市は揺れています。

エンディミオンとヴェール

そんな三賢者ですが(電池になっちまったアレイスターはともかくとして)、エンディミオンとヴェールもといサンドリヨンは最新の時系列においても元気に生きており、しかしながら両者に具体的に協力する意識は見られません。
一応エンディミオンの方から協力者として(?)配下であるジェニーを送っていたり、ウィッチクラフトエンディミオンの依頼を受けたりもしてはいるようなのですが、
ウィッチクラフトエンディミオンに隣接する魔法交易都市で栄える魔法工芸職人ギルド」
「創意工夫溢れる魔法工芸には『魔導王』すらも一目を置く
とあるようにウィッチクラフトエンディミオンに近い場所に居を構えてはいるもののエンディミオン属してはおらず、
エンディミオンの方もヴェール達に対して「一目を置く」に留めています。
これは、エンディミオンと同等の才能と考えればサンドリヨンにも国は興せた事*2や、また同じ三賢者のエンディミオンに国内での便宜を図ってもらってもっと精力的に活動する事も恐らく可能だった事*3を考えればサンドリヨンの方は明らかに手を抜いてますし、*4
エンディミオンの方もかつての同志であり「神聖魔導王」並みの仕事は当然できる「大賢者サンドリヨン」が恐らく力を遊ばせているのを認識しつつ放置しているわけです。
これは実にわだかまりを感じる事ね?
距離感から言ってこの二人は恐らく「友情は失っていないがスタンスの違いから一緒にやっていく事はもう無理」程度の関係になっているわけです。最高。

エンディミオンクロウリーエンディミオンのラメイソン侵攻)

エンディミオンにとっての敵であるラメイソンの電池である事以外不明だったクロウリー(アレイスター)くんですが、彼も今回エンディミオンと個人的に親交があったことが判明しました。
これはつまりエンディミオン視点では「かつての同志がラメイソンに捉われ魔力の源にされている」という事になるわけです
エンディミオンがラメイソンに侵攻した理由は「勢力拡大に対する懸念と魔法の管理のため」とされていますが、今回の事でそれは表向きの理由であり本心では「かつての同志を取り戻すためにラメイソンの制圧を目論んだ」という解釈も可能になるわけですね。
自由度の高いラメイソンに対しエンディミオンでは魔法知識は魔導王が束ねる行政組織によって管理され市井の役に立っており、研究者は自由な研究ができない代わり身分が保証されているらしいのですが、
これは逆を言うとラメイソンでは研究者の身分は最初から保証されていないという事です。
魔法陣暴走の後半霊化したアレイスターがラメイソンの電池になった具体的な経緯は不明ですが、ラメイソンの建物自体と入れ替わるように魔法史から姿を消した(=アレイスターがいなくなった頃きな臭い理念を持ったラメイソンが生えてきた)そうなので既にあったラメイソンという組織がアレイスターを捕まえたのですらなく、恐らく最初からラメイソンはアレイスター電池ありきで、ラメイソンを興した何者かは最初からそういう思想を持っていたのでしょう。だからこそ「あれ」は魔導原典クロウリーなのです。
突き詰めると魔導書の連中は全員アレイスターの力と英知を絞り出してブイブイ言ってるまである。こんなん絶許じゃん。

その話ラメイソンは知っているのか、ちゃんと話し合ったのか!?

でもよ、ひょっとすると攻められてるラメイソンの人達その事情知らねえんじゃねえかなあ……知らねえんじゃねえかなって言うかもしかして戦争の真意がアレイスターなら「魔導原典」が本当は何なのか説明すれば説得できたかできないまでもあんな大戦争にまではならないで済んだんじゃないのかなあ?ちゃんと説明した?
説明した上で昔の話過ぎて一笑に付されたとかならぶっ殺していいと思うけど元々存在した国民同士の悪感情に乗じたとかだったらよくないと思いますね。
まあ「頑張れば説得はできたけどそれは時間があった場合の話で既に一刻の猶予もなかった」とかそういう落としどころになる気もしますが。

召喚魔術

アレイスターは大賢者時代の後に大いなる獣ト・メガ・セリオンという名前を持つに至るのですが、ここで気になるのが大いなる魔導テウロギア・マギストスの存在です。

これは恐らく三人の魔法使いの力を結集して中央の人物に神降ろしをするか何かパワーを与えるタイプの術だと考えられ、中央の人物の消息不明や絶火の顕現のイラストを考えると恐らく(予定にないバケモノを実体で呼び出してしまったとかで)失敗したのですが、この内容はアレイスターが得意とする召喚魔術と大分似通っています。
彼は途中までは召喚した魔物に杖を刺して制御していたのですが、ある時自らを媒体に召喚術を行使し暴走、異形の融合モンスターとなった末に神霊と半融合してしまい最後は電池になるに至ります。
これはかつて失敗した「大いなる魔導」を発展させたものを得意分野の魔法で(独力で)開発しようとし途中まではうまくやったものの最後には失敗したという事なのではないでしょうか。

魔力カウンター

魔導王エンディミオンの理念は恐らく「才能を問わず誰にでも安全に扱える魔法」と「危険な魔法の管理」であり、それを具現化させたものが魔力カウンターであり魔法都市エンディミオンです。
以前の描写から私はエンディミオンが単に「全てを自分の手で管理してその中で理想郷を作りたい」みたいな思想なのかなと思っていたのですが、恐らく実際にはこれは過去に才能ある大賢者達が危険な魔法に挑戦した挙句失敗した事に起因する反動ですね。
向こう見ずな才能と挑戦の恐ろしさをよくよく知っているからこそそれを避けようという思想が根付いたのでしょう。

聖魔の大賢者マギストス・マスターエンディミオンは魔力カウンターに関する効果を持っておらず、イラストで身に着けてもいません。クロウリーやサンドリヨンのように匂わせる効果や関連カードすらない。
魔導王時代の彼は魔力カウンターの光輪を背負っていますが本当は彼はそんなものに頼らずとも自分の魔法だけで似たようなものが出せたのです。
この事から魔力カウンターは三賢者というユニットが解散(崩壊)した後、その原因となった出来事を踏まえて新たに開発したものだと言えるでしょう。

魔力カウンターの意匠は三賢者の紋章と非常によく似たもので、エンディミオンもまた三賢者時代の影響を強く受けていることが分かります。

そもそもサンドリヨンはなぜヴェールになったのか

このように大なり小なり過去の影響を受けつつもその先を目指していた二人と比べるとヴェールもといサンドリヨンの活動はあまりにも消極的です。*5
ウィッチクラフトの共通効果やコラボレーションの連続攻撃はニンアルルの効果と似通ってはいますがシナリオ的には彼女はほぼ何もしていない……どころか名前を捨てて子供の姿になって、あまつさえサボってすらいる。

アレイスターの方は魔法名と言う奴がありますから名前を変える事も自然ですがサンドリヨンの方にはそういう事情はなさそうですし、
特に、名を変えもせず老いを受け入れて白髪になっているエンディミオンと比べると非常に対照的です。
多分彼女は可能性を試すという行為全般が嫌になって逃げだしたんじゃないでしょうか。
それで名を捨て、過去を捨て、自分の才能や可能性に目を背け、失敗しない程度の魔法を扱って適当に流している。
安定志向で再起を図ったエンディミオンも戦争に出た時は結局イレギュラーによって敗退してしまったわけですし、やっぱり本気になんてならないに限る。
子供の姿を取っているのはそれが一番責任から遠い姿だからですね間違いない。
ところでこの話は飄々としているキャラクターが実は心を折られていて日頃の態度はそれを隠す仮面に過ぎないというのが大好き、それがロリババアやショタジジイだと猶更という私の性癖が大分出ているので真面目に受け取らないでくださいね。

アルテミス


後に魔導王エンディミオンの妻、神聖魔皇后となるセレーネの若き日の姿が聖魔の乙女アルテミスです。元ネタは月の女神。
このカードの特徴的な所は三賢者のサポートカードとしては唯一人物キャラクターであり、未来でもその姿が見られる……というか時系列の最新部分に至るまで、三賢者というユニットがなくなった後ですらエンディミオンにずっと連れ添っているという点です。
サンドリヨンとエンディミオンは多分実際に袂を分かっているのですがその時すら離れなかったんですね。
効果を見るによっぽど好きだったんだと思います。そもそも若い頃のエンディミオン恋愛の概念自体理解できなさそうな顔してるのでアルテミスの方で押すしかなさそう。
実際に彼女が人間なのか神なのか定かではないんですが*6、魔皇后となった後はとんでもない量の魔力カウンターを生み出せるようになっているので三賢者には及ばないにせよ優秀な魔法使いであることは間違いないようです。
主役級の力は無いけどいつも主役トリオのそばにいるのが自然でユニットがバラバラになった後もずっとついてくるキャラクターっていいよね。

アルテミスも召喚されてきた説

200905追記。(書くの面倒くさくて放置してた)
これももう一つありそう。
クロウリーがアイワスを、サンドリヨンがニンアルルを呼び出したのと同様にエンディミオンはアルテミスを呼び出したという可能性。
(多分当初エンディミオンにとってはパワーアップのための存在でしかなかったけど段々仲良くなっていったと考えられます)
対話可能で特に厄介な性質も持ってなくて一緒に暮らせるばかりか最終的に結婚までできるとかエンディミオンだけ当たり引き過ぎだろ。

もう一人の魔法使い


今のところイラストの中にしか出てこないので詳細は不明ですが三賢者に協力していた、もしくはその教導をしていたもう一人の魔法使いがいたようです。
容姿と三賢者の属性配分的に恐らく炎属性であることから伝説の爆炎使いではないかとまことしやかにささやかれていますが……
ただ一つわかるのは三賢者は誰がリーダーになってもうまく行くという事は無いという事で、つまり多分コイツが潤滑油か煽動者みたいな事をやっていたはず……つまり多分満足同盟で言うところの鬼柳さんポジションだったという事です。
今は崩壊した過去の青春ユニットとかもう完全に満足同盟だし。

ところで帝王との関係は?


まあ私もプライドの咆哮のイラストはちょっとしたメタネタだとは思うんですが結構帝王は次元侵略っぽい事もしてるっぽいのでひょっとするとエンディミオンと帝王は実際に対立してるのかもしれません。
関わってくるとは思ってないけどなんか匂わされたら嬉しいです。

関係ない話

今回のマギストスカード群を見て最初に連想したのは名作RTSゲーム「グリムグリモア」の三人の魔法使いである大賢者ガンメル、魔王カルヴァドス、魔女ルジェの話でした。
彼らは作中で最も強大かつ偉大な魔法使いであり本編以前に協力し賢者の石を作り出したのですが、結局それが引き金となって二人が堕落した末に死んでしまい*7 *8
作中で明白に味方、そして「現在の人物」として登場するのは主人公リレが入学した魔法学院の校長ガンメルのみです。
現在はバラバラになって対立さえしている偉大な実力者たちがかつては一つのチームだったって……いいよね!
天外魔境の犬神と白虎(金銀)も好きです

*1:一人怪しいのもいますが

*2:まあこれは単にやりたくなかっただけかもしれませんが

*3:国家としてのエンディミオンがラメイソンに侵攻したのは表向き「勢力拡大に対する懸念と魔法の管理のため」だそうですが、これはスタンスとしては「もしもやばい研究をしていたら誰であっても潰す」なので、ウィッチクラフトは取引がある時点でエンディミオン的に容認されない事はやっておらず、なのでエンディミオンに属する事自体は望めばできたはず

*4:ウィッチクラフトサボタージュのイラストでは実際にサボってますし

*5:まあ代替わりというのもあり得ますがここでは考えない事にします

*6:元ネタだと神であるセレーネは老いず老いていくエンディミオンを悲しんで以下略ですが、カードの彼らは普通に老いているので特段の事情がない限り人間だと思います

*7:カルヴァトスは賢者の石の独占を目論んで王国に背いたためガンメルに討たれ死亡、ルジェも賢者の石に惹かれたため王命を受けた弟子によって暗殺

*8:まあどっちも大魔法使いなので悪霊になってうろついているのですが