プリズマンと知性の神と憤怒の神と慈悲の神とジェロニモ

さてプリズマンのお話です。

プリズマンいいですよね。
何がいいって今回彼は元「憤怒の神」である超神バイコーンを(相打ちとはいえ)倒したわけですが、それはレスラーとしての実力で上回ったからではなく完全に相性と相手の油断によるものに過ぎないのがいい。
序盤戦なんて腕すら使われずに殆ど完封されていたわけです。しかしながらプリズマンの能力はたまたま都合よく無条件の超人抹殺光線であり、それが超神に対しても特攻だったからワンチャンスがあって、死力を尽くし下等そのものと言うべき泥臭いファイトでそのワンチャンスを追いかけ続けた結果バイコーンを撃破できた。

つまり彼が神々の良しとする正統派ファイターでなく下等超人だったからこそ勝てた。まずこれがいい。

さらにプリズマンがたまたま無条件の超人抹殺能力を持っていたのはそもそも彼が知性の神のカピラリアピースをもとに知性の神によってつくられた化身超人だからだというのがまたいい。

知性の神がカピラリアピースなんてものを持っていたのはそもそも太古の昔に調和派が超人の絶滅を掲げ全宇宙にカピラリア七光線を照射しようとし、その後慈悲の神の提案によってその大本となるカピラリアプリズムが分割されたからであり、つまりバイコーンを含む調和派が超人を抹殺しようとしなければプリズマンなんて超人は存在しなかったわけです。
同時にバイコーンがカピラリア七光線で死んでしまったのは憤怒の神であった彼が下天によって散々蔑んでいた超人に成り下がったからであり、つまり彼は超人を蔑み抹殺しようとしたが故に死んだ。
「神が創造物である超人を”駆除”するために作ったカピラリアプリズム」の欠片から「知性の神が創造した化身超人のプリズマン」が「神から超人に成り下がった超神バイコーン」を「超人を駆除するための能力故に倒した」というのは本当に業が深くて最高だと思います。

またここ何週間かで突然現れたプリジェロというカップリングもいいですよね。
プリズマンはジェロニモに対して「ウラララうるせーよジェロニモごときがエラそうにオレにアドバイスしてんじゃねーぞこの超人もどきが~~っ!」とか滅茶苦茶辛辣だったわけですが

彼のアドバイスというか存在によってバイコーンが気を緩めたが故に反撃できたので最後にデレました。
「プリズマン大丈夫ズラ?」
「大丈夫じゃねぇよ」「オレはもう…おしまいだ…」
だけど…見たろ超神だって無敵じゃねぇ」「やり方次第でオレたち超人にも…倒す手立てはあるんだって…」
ああ見たズラ!アンタはそれはもう立派に闘ったズラ!
キョキョキョお前如きに褒められても」「やっぱりうれしくねぇなあ……
これが実にいい。
何がいいって「オレたち超人」ですよ。

最初超人もどきってバカにしてたジェロニモを自分と同じ超人で仲間だと認めてるんですよ。
多分ああした言動は彼自身も超人か微妙な所(超人もどき)である事に起因する同族嫌悪で、
また彼は直に神の手の入った、ある意味ではフェニックス以上に真の意味での「神の子」でもあるから、「自分と同じく直接神の力を受けて超人となった」ジェロニモにシンパシーを感じたんじゃないかなと思います。同族嫌悪と同時に。
多分だから「お前ごときに褒められてもうれしくねぇなぁ」なんじゃないかなと。

基本的に「このアホ超人が」「超人もどきが」とは思ってるだろうけどそれはそれとしてジェロニモを同じ仲間だと認めた。
これが友情でなかったら何が友情なのか。

さてそれはそれとして知性の神の話なのですが、彼がプリズマンを製造したのは元々は神に迫りかねない力を芽吹かせ始めたキン肉マンを抹殺するためであり、
それ故ネプチューンキングの5000万パワーを上回るが到底神には及ばない5200万パワーという非常にわざとらしい超人強度を与えられていると考えられます。
別に下天した超神を殺すために用意した訳じゃない。何ならバイコーンは実際に会うまでプリズマンの事は噂でしか知らなかったわけで、つまり連中は王位争奪戦を真面目に観戦してないし始祖編以前は下天の計画も多分持っていなかった。*1
振り返ってみると、そもそも「キン肉マンは危険ですぞー!」などと言いだしたのは知性の神一人で、しかも実際にスグルの王位に反対したのも彼と彼が声をかけたグループの仲間だけ。さらに邪悪の神はグループ全体として天界での立場が悪く精々サークルみたいな扱いらしいので

恐らく下界の超人の小事に一々興味を持っている異常者は知性の神くらいしかいなかった(し知性の神の話を聞いてくれる友達も他の邪悪の神くらいしかいなかった)のだと考えられます。
しかし超人を押さえつける策謀はことごとくうまくいかない知性の神ですが、彼が超人を脅威に感じたのは正しかった。
超人に脅威を感じたというのはつまり超人の可能性をきちんと理解していたという事です。
そして実際――彼自身の超人(?)レスラーとしての能力には疑問符が付きますが――彼の生み出した超人プリズマンはなんと他の神を倒した。
育成の経緯や試合の内容はどうあれ神が超神を倒せる超人を用意できた事例は他には「超神ストロング・ザ・武道を倒せる超人ゴールドマンを慈悲の神が数億年かけて育成した」という一つだけです。

多分知性の神もそこまでは期待していなかっただろうし、なんなら知性の神が直接戦ってもバイコーンは倒せなかったんじゃないかと思うんですが、彼の生み出した超人は神の想像を超える何かを刹那芽生えさせて死んでいった。これは神と超人の在り方としてかなり面白いと思います。
105*2の神としての彼の立場は低いのかもしれませんが、超人の神としての彼はかなり最先端の所にいるんじゃないでしょうか。直接対決どころかそんな奴の眷属に殺されて死んだバイコーンマジウケる。
思えばかつて彼はサムソンの前に都合よく姿を現してサタンクロスとして新生させたことがありますが、冷静に考えて知性の神がたまたま下界を散歩しているわけがないし、あれも彼が常に下界をきちんと観察していたからこそ見つける事ができたのでしょう。「お前ほどの使い手をむざむざと壊してしまうのは惜しい」とか言ってましたし悪魔超人界のエリート周辺の事を知ってはいたはず。
……つまり何が言いたいんだ?
まあとにかくボスキャラとしての知性の神はダメだし邪悪の神も正直ダメだけどアイツらの用意した超人は常に神を超える可能性を秘めているから超人の守護者としてはマジ期待できるから楽しみにしていましょうということですね。
知性の神の謀略が意図しないピタゴラスイッチで超人界を救うと信じて! ご愛読ありがとうございました!

*1:そのせいで死んだわけですが

*2:ピースが108らしいのが気になる